コミュニティ・レイヤーという考え方

2012年7月30日 | ブログ  
コミュニティ・レイヤーという考え方

アイ・ディーを設立して10周年である2007年に、私は20周年となる2017年のアイ・ディー社の姿を考えました。そして、将来性の低い、現状のWebを軸としたメディアの請負制作業態からの脱却と、社会全体の抱える課題でもある、地域と環境の課題について真っ正面から取り組み、地域から課題解決につながるビジネスを興したいと考えました。そのビジネスを軸にして、メディア制作で培ったスキルを活かし、総合的なプロデュースを自社で展開し、地域創発型の企業として成長した社の姿を描きました。

そのように考えても、地域と環境について、いったいどのように取り組んで行ったらいいものか、皆目見当もつきませんでしたので、そこで「SlowLAB」という任意グループを創り、ICT利活用による環境への取り組みを試行錯誤してみることにしました。

映画の出張上映会にはじまり、環境系NGOのWeb制作支援、里山保全に関する情報発信、スローフードに関する研究・・・。
私自身も、自然環境サポーターや農業塾参加、エコツーリズムの活動参加などを経験しました。そしてその都度感じたことは「いかに他に依存した暮らしをしているか、生活をお金で買っているか。」と云うことでした。
体験活動の指導者である、ガイドの方々や、農家の方々の自立して生きるチカラの強さと比べ、自分のなんと非力なことか。これは少しでもなんとかせねば、と、もがいた数年間でした。

やがて、ふるさとであるみやこ町に事務所を移し、2017年までの道のりの中間点でもある2012年を迎えました。
SlowLABは、ESDを軸とした都市農村交流活動が本格化し、NPO法人として、アイ・ディー社のラボとしての位置づけから、次のステップに登りました。新生SlowLABでは、アイ・ディーだけでなく、もっと多くの方の知恵を集め、地域から、持続可能な社会づくりのための取り組みの模索をはじめています。

前置きが長くなったのですが、この5年の活動を通じて気づいたことがあります。
まずは、拡大経済、都市化、グローバリズムにより、バランスを欠いてしまったこと・・・都市への人口集中と地域の過疎高齢化、地域のあらゆるものの衰退、都市における通勤の問題、仕事のストレス、ワークライフバランス、食のグローバル化・・・。これらの現代社会の抱える諸問題は、基本的に全て連鎖していて、そうしたシステムの上で、自分を含めた現代人の生活が成り立っていると云うこと。
そして、そのシステムの否定から懐かしい未来を描いてみても、何ら解決策とはなりえないことです。エコロジー思想は、ともすれば過激にカルト的になりがちです。素晴らしい理論や概念も、自らの立っている社会を否定するところまで持ち上げてしまうと、自己否定、自己矛盾に陥らざるを得ません。
SlowLABの活動では、エコロジカルな様々な考えの素晴らしい点を、科学的に取り入れたところで、どのようにそれを活かせば、現在の地域の課題解決につながるか・・・その理念を忘れずに、多くの人々に受け入れられる活動をしていこうと考えました。

そして最近、ふるさとであるみやこ町に根付きつつ、辿り着いた考えのひとつが「コミュニティ・レイヤー(縁の層)」という考え方です。
コミュニティ・レイヤーを、地域において豊かにしていくことで、地域の特色を出し、地域活性化に繋げて行こうとする手法です。

それはどういうことか?
従来の地域の縁は、血縁であり地縁でした。それが全ての縁の帰結するところで、良くも悪くも過疎地ではそれが変わらず維持されていることが多いのが実情です。
地域では、得難い自然環境の魅力があるとは言え、刺激的な都市文化や交流が乏しいのは、云うまでもありません。インターネットにより、物と情報の流通が変わったとは言え、新たな縁の乏しさに代わりはありません。
いや、正確に云うと、新しいことや面白いこと、刺激的な活動をしている人は点的に存在するのですが、コミュニティが形成できていないのです。
それは都市のように集う場もなければ、発信する手段も持ち得ていないからで、SlowLABでは、コミュニティ形成の場づくり、機会づくり、情報発信を進め、みやこ〜京築地域のコミュニティ・レイヤーの重層化を図るべく、活動しています。
また、そこで必要となる、ものづくりや情報発信、デザイン、エージェント的サービスを、今後アイ・ディーを含めた地域のクリエイターが担っていくことができるような仕組みづくりを・・・と、考えています。

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